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こまごました勘定なぞどうでもいいが、もし宿料に不足だったらそう云ってくれ」上座の方からそういう声がきこえた。亭主は彼等の留守中に預り品など調べて、宿料は到底払って貰えないものと諦めていたところであり、ただ夢かとばかり札束と鉱山師の顔を見較べていた。そこへまた「そら、もう一束。それは祝儀だ」という声とともに、同じような札束が投げ出された。亭主はハッと吾に返って額を畳へすりつけた。怖る怖る手をのばして両手に札束を握ると、急にそわそわと廊下へ走り出た。そうして余り有頂天になりすぎたのであろう、一足梯子段へ踏み出したと思うと足をすべらして、地響うって転り落ちた。  彼等鉱山師達は住友へ鉱区を譲渡したのだった。住友の当事者は、山代金を渡すとき、北海道まで大金を持参するのは途中の危険もおもんぱかられるから、小切手で差し上げようといった。 


アンティークメダイ・クロス・ロザリオ・ホーリーカードほか聖品専門店 忠言は耳に逆らう - FrontPage