そこで、伊八は甚吉の家の方へねだりに行く。それが二度も三度もつづくので、甚吉の家でもうるさくなって、秘密を知っている伊八を生かして置いては一生涯の累いだから、いっそ亡き者にしてしまえと、誰かに頼んで殺させたに相違ないと、おきよは泣いて訴えるのです。わたくしも先ずそうだろうと思いましたが、ただ少し不思議なことは……。 そういうと又叱られるかも知れませんが、伊八とお園は川岸づたいに妙見さまの方へ行ったらしいのに、そのお園はいつの間にか見えなくなって、伊八だけがここへ来て死んでいる。勿論、わたくしが狐に化かされたとすれば仕方もありませんが、そこが何だか腑に落ちないので、念のために亀屋の方を調べてみると、お園は日が暮れてから髪なぞを綺麗にかき上げて、いつもよりも念入りにお化粧をしていたかと思うと、ふらりとどこへか出て行ったままで、いまだに帰って来ないというのです。そうなると、わたくしがお園の姿を見たというのも、まんざら狐でもないようで……。」 【オプトインアフィリエイト】誰でも無料で稼げる案件や登録方法 ラブサーチアフィリエイト