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 左片盤の小頭は、食堂で昼飯を食べていたが、係長の命令で直ぐに呼び出された。 「君はあの時、発火坑の前からこの男を連れ出して来ただろう。それからどこへ連れて行ったんだい?」 「この親爺」と小頭は笑いながら答えた。「あの時腰が抜けてたんです。それで、救護室へ連れて行ったんですが……、さっき私がその救護室へアンペラをとりに行った時に、やっと起きあがりはじめた程で……看護夫も手を焼いとりましたよ」 「成る程」と巡査が口を挟んだ。「それで、起きれるようになってから、何処へ行ったかは判らんですね」  と係長へ向直って、 「こいつは臭いですよ。なんしろ私は、片盤坑の入口で、気の狂った女房と一緒にうろうろしてるのを捕えて、ここへ連れて来たんですからね。救護室を出てから、いままで何処でなにをしていたか……」 「いや、あんたは勘違いしとるよ」  いままで黙っていた係長が、不意にいった。 「成る程。歩けるようになってから、捕えられるまで、どこにいたかは判らん。が、しかし……」と小頭の方へ向って、 「君がアンペラを取りに行く頃までは起てなかったんだね。それで、君はそのアンペラを丸山技師の屍体へかぶせるつもりで取りに行ったんだろう?」 「そうです」 能見台 歯科 お得なクレジットカード比較