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「そのくらいは子供だから仕方がねえ。叱って置いても済むことだ。それも親方に撲られるのは我慢するけれども、自身番の奴らがむやみに棒で撲ったり、縛ったりしやあがった。ひとを縛るということは重いことで、無暗に出来るもんじゃあねえと兄貴が云った」と、権太郎は泣き声をふるわせた。「おいらはもうこうなりゃあ何もかも云っちまうが、兄貴があんまり口惜しいというんで、おいらの加勢で意趣返しをしてくれたんだ。おいらが垣根を登ったなんて密告をした奴は煙草屋のおちゃっぴいだ。おいらをぶん撲って縛った奴は自身番の耄碌おやじだ。こいつ等をみんなひどい目にあわしてやると、兄貴は終始狙っていたんだ」 「すると、煙草屋のむすめと自身番の佐兵衛と番太の嚊と、この三人にいたずらをした奴は手前の兄貴だな」 「おじさん、堪忍しておくれよう」  権太郎は声をあげて又泣き出した。 「兄貴が悪いんじゃあねえ。兄貴はおいらの加勢をしてくれたんだ。兄貴を縛るならおいらを縛ってくんねえ。兄貴は今までおいらを可愛がってくれたんだから、おいらが兄貴の代りに縛られても構わねえ。よう、おじさん。兄貴を堪忍してやって、おいらを縛ってくんねえよ」歯科 ホームページ制作 お得なクレジットカード比較