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 パイ軍曹は、きょろきょろと、あたりを、みまわした。 「はて、林檎は、どこへおいたかな」  林檎が、見あたらない。 「おい、ピート一等兵。さっきの林檎を、もう一度、しらべたい。林檎は、どこにある」 「さあ、どこへいきましたかしら……」  ピートは、ふしぎそうにいった。 「おい、ピート。そっちへ、離れてみよ。猿の子供みたいに、いつまでも、おれに抱きついていても仕方がないじゃないか。お前が、あの林檎を、尻の下に、しいているのではないか。早く、のけ!」 「はい、今、のきます」  ピート一等兵は、立ち上った。  二人は林檎をさがした。  ところが、林檎は、どこにもなかった。軍曹は、ピート一等兵のポケットの中までさがしたが、林檎はなかった。もちろん、自分のポケットにもなかった。 「どうも、へんだな。今、そこのへんにあった林檎が、どうして、なくなったんだろう。これは、いよいよふしぎだ」  パイ軍曹の顔が、また一だんと、青くなった。 

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