「まだ大丈夫らしい。挨拶かなんかやっているところだろう」 暫くすると、二階の窓にかかっている水色のカーテンがすこし揺らいだのを、敏捷な帆村は咄嗟に見のがさなかった。 「……二階へ上ったんだ」 そのときカーテンの端が、ほんのすこし捲くれた。そしてその蔭から、何者とも知れぬ二つの眼が現われて、ジッとこっちを眺めているのだった。 「誰? 糸子さんだろうか。ハテすこし変だぞ」 と思ったその瞬間だった。二つの怪しい眼は、突然カーテンの蔭に引込んだ。まあよかった――と思う折しも、いきなりガチャーンと凄まじい音響がして、その窓の硝子が壊れてガチャガチャガチャンと硝子の破片が軒を滑りおちるのを聞いた。 帆村がハッと息をのむと、それと同時にカーテンの中央あたりがパッと跳ねかえって、そこから真青な女の顔が出た。 「あッ、糸子さんだッ。――」 思わず帆村の叫んだ声。いよいよ糸子の危難である。それは更に明瞭となった。なぜならカーテンの間から、黒い二本の腕がニューッと出て一方の手は糸子の口をおさえ、他方の手は糸子の背後から抱きしめると、強制的に彼女の身体をカーテンのうちに引張りこんだから。
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