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 それについて、半七老人はわたしにこう語った。 「まえにも申す通り、異人の首がむやみに手に入るわけのものじゃあるまい。もしほんとうに首を取ったとすれば一大事で、とうに奉行所の耳にもはいっている筈です。だが、偽首となると髪の毛がわからない。その紅い毛は日本人の毛じゃあない。といって、獣《けもの》の毛でもない。もちろん唐蜀黍《とうもろこし》でもないと云う。そこでわたくしは舶来の人形ではないかとふと考えたんです。その前の年に横浜に行って、実によく出来ている舶来の人形を見せられたことがありますから、この種はどうも横浜から出ているらしいと思って、乗り出してみると案の通りでした。勝蔵と寅吉はなかなか強情を張っていましたが、わたくしが唯一言『貴様たちが商売道具につかっている舶来の人形はどこから持ち出した。あのロイドから借りて来たか』と、云いますと、奴らは蒼くなってふるえ出して、みんなべらべらとしゃべってしまいましたよ。ふたりは死罪になりました。ロイドは外国人ですから、うっかり手をつけるわけにも行かなかったんですが、同類ふたりが挙げられたのを聞いて、ピストルで自殺したそうです。人形の首は深川の寅吉の家の床下に隠してあったのを探し出して、丸井と近江屋の番頭をよび出して見せますと、まったくそれに相違ないと申し立てました。その首は参考のために保存して置こうという意見もあったんですが、とうとう叩き毀してしまったということです」 無料オファー 案内所 無料の物を紹介するだけで2341万円を8か月で稼いだ方法: 月収821万 ...