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 あるとき、一羽のつばめは、船に乗ろうと思って、遠いところから、急いで飛んできましたが、すでに船の立ってしまった後でした。  そのつばめは、ひじょうにがっかりしました。しかたなく、木の葉を船として、これに乗ってゆこうと決心しました。それより海のかなたへ、渡る途はなかったのです。  昼間は、木の葉をくわえて飛んで、夜になると葉を船にして、その上で休みました。そのつばめは、こうして、旅をしているうちに、一夜、ひじょうな暴風に出あいました。驚いて、木の葉をしっかりとくわえて暗い空に舞い上がり、死にもの狂いで夜の間を暴風と戦いながらかけりました。  夜が明けると、はるか目の下の波間に、赤い船が、暴風のために、くつがえっているのを見ました。それは、王さまのお迎えに出された赤い船です。つばめは、急いで帰って、このことを王さまに申し上げました。――王さまは、ここにはじめて、自らの力をたよることのいちばん安心なのを悟られ、あくる年から、赤い船を出すことを見合わせられたのであります。 ――一九二六・九―― 山形 歯医者 口も八丁手も八丁