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「足の早い奴らだ」  元八も足を早めて、うす暗い森を出ぬけると、その行く手に男二人と女ひとりのうしろ影が明るい月に照らされて見えた。彼らは神明の社《やしろ》のある徳住寺の方角へむかって行くらしい。若い女と虚無僧とが今頃どうして神明の社へ詣るのかと、元八の好奇心はますます募ったが、何分にも月のひかりに妨げられて、彼は三人に近寄ることが出来なかった。もし覚られたら、又どんな目を逢うかも知れないという恐れがあるので、彼は半町ほどの距離を置いて、見え隠れに慕ってゆくと、三人は途中から更に爪先《つまさき》をかえて、徳住寺から少し距《はな》れた古寺の門前に足を止めた。  寺はかの竜濤寺であった。 歯科 コンサルタント 忠言は耳に逆らう - FrontPage